Story Collection / ストーリーコレクション

PIRATE OF BLUE DYE2018MS

2018MS

アメリカが独立宣言後にようやく国として機能し始めた頃の 1789年から現代まで残った貴重な1800年代のワークウェアのパテント資料から今季のコレクションの物語は始まります。
数々の秀逸なワークウェアの記録の中には、個性的かつ無骨なデザインのパテントを膨大な数で取っている者がいました。 ディエンという名のアジア系移民の彼のデザインは、他の追随を許さない斬新なものばかりでした。
そんな彼のパテント資料は、とても人間一人ではすべてを考えつけるわけがないと思われるほど、様々な国や時代の衣服の要素を持っていました。 ディエンにはある逸話がありました。
彼が取ったパテントには、伝説の海賊船フライング・ダッチマンを冠したブランド名で登録されているも のも多くあったため、彼の生み出すデザインはフライング・ダッチマンに乗り込むことにより、世界の海 だけでなく、大地や空、果てまでは時空を超えて航海をし、そこで目にしたものからインスピレーションを受けることで生み出したのではないかと言われるようになったのです。 そんな逸話を持つディエンの生み出したアイテムの数々を、彼の航海の軌跡と一緒に再現していくコレク ションが今季の PIRATE OF BLUE DYE になります。

サンフランシスコの港町で荷物の積み降ろしの仕事をしながら、労働着の製作に勤しむディエンと呼ばれる一人の中国人がいた。ディエンは自身で製作するワークウェアをニューヨークで売ることを夢見ながら資金を稼ぐ毎日を送っていた。ある日を境に、ディエンの運命は大きく変わった。その日は春の陽気に満 ち、汗ばむくらいの気温だった。大きな貨物船に大量の綿花を積み込む仕事を終え、ニューヨークから来た小さな商船の荷降ろしを最後に残すのみであった。少し薄暗くなった夕刻の荷降ろしも終わりかけた頃、一人の男が商船に侵入して船を強奪した。男はヘッドバットジョーと呼ばれるこの町では有名なギャングであった。ヘッド バットジョーによると、財宝を積んだまま海に沈んでしまったという海賊船フライング・ダッチ マンがニューヨークの沖に現れたのだという。 大海賊キッドのフライング・ダッチマンに積まれていた財宝は何度生まれ変わっても遊んで暮らせるほどの額らしい...
ディエンは、ヘッドバットジョーになかば脅迫される形で、フライング・ダッチマンを追い求めるニュー ヨークまでの航海に付き合わされることになった。ヘッドバットジョーに商船を強奪される前、 ディエンは前日縫い上げたばかりのカバーオールを仲間に見せていた。
そのまま商船に持ち込んだカバーオー ルを目にしながら、このままニューヨークでワークウェアを売ることはできないだろうか、と緊迫した状況にも関わらずディエンは期待を持っていた。ディエンが作るワークウェアの中には、同僚に貰ったア フリカ土産のインディゴ生地を使ったものもあった。ヘッドバットジョーの指示で、その生地の余りを使って海 賊旗を作り、共に航海に出た。ディエンはそれから数多くの航海で様々な人物や衣服と出会い、忘れることがないようすべてを書き残した。その出会いに基づく斬新なデザインが後世に残る衣服を生むことになる。